FOMC:決定内容

1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、ほとんどサプライズがありませんでした。

直近3回の会合ではそれぞれ利下げを行ったものの、今回は事前の予想通り、フェデラルファンド金利の誘導目標レンジを4.25%から4.50%に据え置くことを決定しました。堅調な経済活動や安定した労働市場、足元のやや強めの物価上昇を踏まえると、今回追加で利下げを行う理由はほとんどありませんでした。

また、トランプ新政権の政策の不透明感によって、今後の経済・物価動向が見通しにくくなっている中で、米連邦準備制度理事会(FRB)は慎重なアプローチを取ることが賢明であると考えています。

声明文の変更はややタカ派寄りになったものの、パウエルFRB議長はこれを「少し表現を整理」するための微調整であって、特に何かを示唆するものではないと説明しました。

  • 失業率の上昇一服を受けて、FRBは労働市場に対してより前向きな見方を示しました。「労働市場の状況は概ね緩和してきており、失業率は上昇したものの低水準を維持している」という表現は、「失業率はここ数ヵ月、低水準で安定しており、労働市場の状況は堅調なままである」に変更されました。
  • 足元のやや強めの物価上昇を背景に、「インフレ率は2%の物価目標に向けて進展したが…」という文言が声明文から削除され、「インフレ率は幾分高止まりしている」のみが残されました。

パウエル議長の記者会見のポイント

  • 記者会見で、パウエル議長は政治に焦点を当てた質問への具体的な回答は避けました。
  • 一方で、政策が変化する中で、経済の先行きに関する不確実性は高まっていることに焦点を当てました。

市場の反応と今後の見通し

今回のFOMCを受けて、当初は声明文がややタカ派的と捉えられたことから米国10年国債利回りが上昇し、米国株式は下落したものの、わずかにハト派寄りとなったパウエル議長の会見中にどちらも反転しました。FRBによる利下げに対する金融市場の織り込みはわずかにタカ派寄りに変化したものの、ほとんど変わっておらず、次の利下げは今年の半ばまで予想されていません。

フェデラルファンド金利が直近の利上げサイクルのピークから1%下がった今、金融政策は依然として引き締め的であるものの数ヵ月前よりは中立に近づいており、追加の利下げを急ぐ理由はほとんどありません。一方で、トランプ新政権の政策の不確実性や政治的な緊張が高まっている中、利上げに動くことも考えにくいです。したがって、経済指標が急速に悪化しない限り、FRBはトランプ新政権の政策がより明らかになるまで様子見を続けるでしょう。政策の具体的な内容は依然として不明確であるものの、その影響は既に感じられつつあります。実際、昨年の12月には将来の関税導入・引き上げを見越して企業が事前に財輸入を急増させたため、昨年第4四半期のGDPに下振れリスクをもたらしています。

今後のFRBの政策金利の動向は依然として不透明です。様々な金融資産のバリュエーションが高まっている現在の環境下では、たとえ小さなサプライズであっても、ボラティリティが急上昇する可能性があります。このような状況下では、分散投資が極めて重要です。

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